ある日、引渡し前に自分が監督を担当した現場のチェックで上司に呼び出されました。
「お前、ここを見てみろ」
見ると洗面化粧台のビスが、1つだけ閉まっていなかったのです。
「目に見える箇所のビスが閉まっていない事に気づかないのなら、見えない所で締め忘れたビスがどれだけあるんだ?そんなヤツがこの家の監督をしたのか?」と。
「・・・そうです」
私は、それしか答えられませんでした。
すごく悔しかったですし、腹が立ちました。
自分自身に。
「自信をもって引き渡しをするために、ビス一本であろうと全てチェックしよう」
私はこの時から、もっと真剣にお客さまと、現場と、建築という仕事と向き合おうと決意しました。
合格点である80点の仕事じゃなくて、常に100点の仕事がしたい。
それは自分のプライドや意地を守るためでもありますが、多くのお客さまにとって家づくりは一生に一回。引き渡しの時に「ここに傷がついてる」とか、絶対に言わせたくないと今でも思っています。